極東4th
「能力を、解いているのか」

 1stの登場に、真理は微かな笑みを浮かべていた。

 兜のせいで、それは相手には伝わっていないだろうが。

「蝕の番が必要でしょうから」

 今日は、真理が一番速く到着したのだ。

 そして、ステルスを解かなければ、番が出来ないのは前回で学習していた。

 戦闘行動がなければ、早紀もおとなしい。

「そうか…下はもう終わるだろう。2対1だからな」

 1stと4thが、ここにいるのだから、彼のいう2とは、2ndと3rdのこととなる。

 1stが1体、真理が1体、そして二人が1体。

 敵の合計は、3ということか。

「敵は、おそらく一人代替わり待ちだろう…いつ参戦するかは知らんが、な」

 前回、敵の1stが不在だった。

 今回もとなると、蝕を巡る戦いとは別の理由で、死んだ可能性がある。

 逆に魔族は、去年のトゥーイ、今年の真理と一気に四席が埋まった。

 そして、天族は真理を攻略できていない。

 極東の蝕を、しばらくは天族が取れるとは思えなかった。

「しかし、ここまで順調に蝕が取れると…要求が増えてくるな」

 下方の火花を見ながら、1st──イデルグは、苦笑にも似た音を漏らした。

「これは…『青』ともやる羽目になりそうだ」

 面倒なんだがな、あいつらは。

『……っ!』

 イデルグの言葉に、真理はああと納得した。

 要求というのは、彼らの更に上からだろう。

 極東エリアの上に、亜細亜エリアがある。

 勿論その上も。

 海に面したエリアでは、「青」と蔑称される厄介な海族がいるのだ。

「………」

 真理は、ふと思考を止めた。

 何か、不自然な事象が起きた気がしたのである。

 ほんの少し前。

 彼が、海族について納得する直前。

『……っ!』←驚きにも似た、息を呑む一瞬のこの音は、何だったのか。

 真理ではない。

 ということは、早紀か?

 しかし。

 当の早紀は──既に、ステルスの殻の中に閉じこもっているようだった。
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