極東4th
言ってない。
早紀は、自分の口から海族なんて、一度も言ってない。
だから、零子は奇妙な表現にひっかかっているだけで、何の確証もないのだ。
何度も記憶をたどって、早紀はやっとその結論を導きだした。
いくら零子だって、魔族の学校に敵が入り込んでるなんて、想像もできないだろう。
そう、だから大丈夫。
「……」
しかし。
早紀は、別の意味でぎくりとさせられていた。
真理が、彼女を見ていたからだ。
そしてここは、帰宅中の車内だった。
一人で百面相しているのを、見られたに違いない。
無言なのが、余計に早紀の心に重圧を与える。
そんな真理が――いまのカシュメル家の当主。
早紀や、写真の魔女の、血筋の頂点に君臨しているわけだ。
彼に聞けば、分かるだろうか。
謎の魔女のことを。
しかし、何故かと聞かれたら答えられない。
写真の出どころも。
真理に問うにしても、もっと外堀を埋めなければ。
それより。
まだ、修平の方が聞きやすそうだった。
好きになれないタイプではあるが、真理ほど追い詰めてこないのではないかと思ったのだ。
「修平さん…」
屋敷に帰り、当主が自室に入ったのを確認した後、早紀は廊下を歩いていた修平を呼び止めた。
「この人…カシュメルの血筋らしいんですが、ご存知ですか?」
イキの良さそうな、魔女の写真を取り出す。
どきどき。
自分の、喉のあたりに心臓がある気がした。
「ん? あぁ…どこかで見たような」
写真を覗き込みながら、修平は眉間に指を当てる。
「あぁ…あぁ?」
納得したような声が、中途から不審な疑問に変わる。
ギクリ。
嫌な予感が、電流のように首筋を走った。
「…馬鹿にしてる…わけじゃないよね?」
奇妙な言葉と、あからさまな怪訝が──早紀に向けられたのだった。
早紀は、自分の口から海族なんて、一度も言ってない。
だから、零子は奇妙な表現にひっかかっているだけで、何の確証もないのだ。
何度も記憶をたどって、早紀はやっとその結論を導きだした。
いくら零子だって、魔族の学校に敵が入り込んでるなんて、想像もできないだろう。
そう、だから大丈夫。
「……」
しかし。
早紀は、別の意味でぎくりとさせられていた。
真理が、彼女を見ていたからだ。
そしてここは、帰宅中の車内だった。
一人で百面相しているのを、見られたに違いない。
無言なのが、余計に早紀の心に重圧を与える。
そんな真理が――いまのカシュメル家の当主。
早紀や、写真の魔女の、血筋の頂点に君臨しているわけだ。
彼に聞けば、分かるだろうか。
謎の魔女のことを。
しかし、何故かと聞かれたら答えられない。
写真の出どころも。
真理に問うにしても、もっと外堀を埋めなければ。
それより。
まだ、修平の方が聞きやすそうだった。
好きになれないタイプではあるが、真理ほど追い詰めてこないのではないかと思ったのだ。
「修平さん…」
屋敷に帰り、当主が自室に入ったのを確認した後、早紀は廊下を歩いていた修平を呼び止めた。
「この人…カシュメルの血筋らしいんですが、ご存知ですか?」
イキの良さそうな、魔女の写真を取り出す。
どきどき。
自分の、喉のあたりに心臓がある気がした。
「ん? あぁ…どこかで見たような」
写真を覗き込みながら、修平は眉間に指を当てる。
「あぁ…あぁ?」
納得したような声が、中途から不審な疑問に変わる。
ギクリ。
嫌な予感が、電流のように首筋を走った。
「…馬鹿にしてる…わけじゃないよね?」
奇妙な言葉と、あからさまな怪訝が──早紀に向けられたのだった。