極東4th
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「そんなのウソです!」
不覚にも、真理は驚かされた。
早紀の大声を、現実的に聞く日が来るなんて、思ってもみなかったからだ。
声は、廊下から。
距離があって、ドアという遮蔽物があってなお、彼の耳まで大きく届いていた。
何事かと視線を向けるが、ドアや壁が邪魔をして様子を伺うことは出来ない。
その後、大きな声は打ち止めになったらしく、それ以上の声は真理の位置まで届かなかった。
一体、誰相手に何の騒ぎなのか。
珍しすぎる出来事だから、なのだ。
真理は、ドアを開けたくなっていた。
しかし、理性がそれを押しとどめてもいた。
たかが早紀の大声で、自分が出て行くまでもない、と。
どうせ、くだらないことに違いない、と。
廊下は静まり返り、真理は興味を失うために視線を部屋の中に戻そうとした。
コンコン。
ノックが──それを許さなかった。
ぴりっと。
自分の指先に、電気が走る。
彼が持っている力は冷気であって、電気ではないというのに。
「僕だよ」
ドアの向こうにいたのは、従兄だった。
早紀ではない。
ふっと息をつき、中に招き入れる。
「一応、耳に入れておこうと思ってね」
斜め後ろを、一瞬見る動作。
さっき、早紀に大声を出されていたのは、この男なのか。
「彼女…変じゃないか?」
彼女、とは早紀のことだろう。
しかし、その彼女が変なのは、今に限ったことではないだろうに。
「魔女の写真を出して、この人を知らないかと言うんだ」
不可解な視線の動き。
「…誰の写真だったと思う?」
そんな修平の視線が、真理の眉間で止まった。
分かるはずのない真理は、瞼の動きだけで先を促す。
「彼女の…母親の写真さ」
一瞬──早紀の部屋で見た、魔女らしくない女の笑顔が、真理の頭をよぎった。
「そんなのウソです!」
不覚にも、真理は驚かされた。
早紀の大声を、現実的に聞く日が来るなんて、思ってもみなかったからだ。
声は、廊下から。
距離があって、ドアという遮蔽物があってなお、彼の耳まで大きく届いていた。
何事かと視線を向けるが、ドアや壁が邪魔をして様子を伺うことは出来ない。
その後、大きな声は打ち止めになったらしく、それ以上の声は真理の位置まで届かなかった。
一体、誰相手に何の騒ぎなのか。
珍しすぎる出来事だから、なのだ。
真理は、ドアを開けたくなっていた。
しかし、理性がそれを押しとどめてもいた。
たかが早紀の大声で、自分が出て行くまでもない、と。
どうせ、くだらないことに違いない、と。
廊下は静まり返り、真理は興味を失うために視線を部屋の中に戻そうとした。
コンコン。
ノックが──それを許さなかった。
ぴりっと。
自分の指先に、電気が走る。
彼が持っている力は冷気であって、電気ではないというのに。
「僕だよ」
ドアの向こうにいたのは、従兄だった。
早紀ではない。
ふっと息をつき、中に招き入れる。
「一応、耳に入れておこうと思ってね」
斜め後ろを、一瞬見る動作。
さっき、早紀に大声を出されていたのは、この男なのか。
「彼女…変じゃないか?」
彼女、とは早紀のことだろう。
しかし、その彼女が変なのは、今に限ったことではないだろうに。
「魔女の写真を出して、この人を知らないかと言うんだ」
不可解な視線の動き。
「…誰の写真だったと思う?」
そんな修平の視線が、真理の眉間で止まった。
分かるはずのない真理は、瞼の動きだけで先を促す。
「彼女の…母親の写真さ」
一瞬──早紀の部屋で見た、魔女らしくない女の笑顔が、真理の頭をよぎった。