極東4th
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 真理は、嫁探しを放置したまま、自分以外の三席のことについて調べていた。

 これから、彼が踏みつけていく相手たちだ。

 家柄などの基礎情報は、元々持ってはいるが、それぞれの能力の情報となると、手に入れるまで多少時間がかかる。

 味方とは言え、自分の能力をベラベラしゃべる馬鹿はいないのだから。

 3rdのトゥーイは、特筆すべき目を持っている。

 あの零子と呼ばれる魔女も、その視る能力によってトゥーイ家に連れてこられたのだ。

 トゥーイ自身、二つの目を一つに重ねて使っているという噂がある。

 ああ。

 それについては、真理は納得だった。

 わざと隠した片方の目。

 露出された方の目の力を引き上げ、それに更に零子の能力を加えたというワケか。

 徹底的に、特化したタイプだった。

 だからか。

 真理は、その情報にうっすらと唇の端を持ち上げた。

 だから、真理や早紀に絡むのだ。

 特化した目でさえも、早紀の持つ能力に翻弄されているのだから。

 さぞや、悔しい思いをしていることだろう。

 どうにかして、この事態を克服しようとしているに違いない。

「最近…トゥーイ卿と会ってないか?」

 登校中、車内で早紀に聞いてみた。

 彼女は、ぶんぶんと首を横に振った後──しかし、こう言ったのだ。

「零子さんなら…たまに」

 たまに、の言い方が奇妙だった。

 ああ、そっちを使ったか。

 さすがに、トゥーイ様じきじきに早紀に何度も絡むのは、プライドに関わるのだろう。

 憑き魔女を使って、対早紀克服計画を発動したわけか。

「余計なことは言うな」

 真理は、一本の釘を刺した。

 この女が、零子と『友達』などというものになったら、カシュメル家の内部のことを、べらべらしゃべるんではないかと思ったのだ。

 すると早紀は、とてもとても複雑な顔をした。

 何か言い返すかと思ったが。

 従順とは違う方向で、いつも通りに彼女は黙り込んだのだった。
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