極東4th
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「余計なことは言うな」

 真理のこの言葉こそ、余計だった。

 早紀が、魔族の縄張り争いや、戦いだの家柄だのに、余計な知識など持っているはずもないし、口を挟めるはずなどないのだから。

 こういう言葉を面と向かって言われると、自分はまったく真理に信用されていないのだと分かる。

 信用、などという関係が、今後構築できるとも思いづらい。

 その事実は、早紀を憂鬱にするのだ。

 空蝕が来る度に、こんな関係のまま戦いに出なければならないのだから。

 せめて鎧さんくらい、話の出来る相手ならなあ。

 早紀は、いっそ夢の中の男が恋しくなった。

 もし彼とならば、きっともっと軽く話をしながら、一緒にいられるんじゃないかと思ったからだ。

 しかし、彼と同じものになっていながら、会えるのは夢の中だけ。

 痛みから助けてもらった恩以来、早紀はすっかり彼の存在を頼りにしていた。

 結局、真理は苦しむ早紀を放っておいただけ。

 その差は、彼女の中では大きかったのだ。

 これから。

 真理と出撃する度に、この不信感は膨れあがっていくのだろうか。

 少なくとも、早紀は自分のステルスを切れない気がした。

 あの能力こそが、自分を守れるものなのだ。

 な、の、に。

 な、の、に、だ。

 黙り込んだ早紀に、彼はこんなことを言ったのだ。

「ステルスの、オンオフを自由に切り替えられるようにしておけ」

 時が、一瞬止まった。

 それは、また彼にオフを命じられるという意味で。

 ピシッと言う音を、早紀は聞いた。

 自分と真理の間の何かが、そんな音を立てたのだ。

 はいも、いいえも――答えられなかった。
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