極東4th
「ハイクラスの魔女では、駄目だ」

 タミを部屋から追い出した後、真理は修平にそう突きつけた。

 ハイクラス=名のある一族。

 その魔女では、プライドが高すぎて、早紀に魔力を分けることを拒むのだ。

 詳細を知らない修平は、単にタミ→真理の、魔力移動のみを考えたのだろう。

 だが、本当にそれが必要なのは、早紀だった。

 だから、ハイクラスでは駄目なのだ。

 大体。

 ハイクラスの魔女が、何を好き好んで、他の魔族に仕えるような仕事を選ぶのか。

「いや…あの…まあ、それが…本人の希望なんだよ」

 口の中を、沼化させたように、どろどろと練り混ぜた声が出てくる。

 本人の?

 よほど、風変わりなのか。

 真理が、そう思いかけた時。

「分かるだろう? 真理だって子供じゃないんだし」

 察しろよ、と言わんばかりに、修平が両手を開いてみせる。

 ハイクラスの魔女が、真理に仕えたいと思うことに、何を察しろと言うのか。

 チカッ。

 彼の脳裏に、何かがまたたく。

 ああ、そういえば。

 つながりそうでつながらない回線が、それでも真理を納得させようとする。

 なるほど、そうか。

 接触の悪い回線の向こう側に、ちらちらと答えが見えた気がしたのだ。

「つまり…」

 真理は、回線をつなぐために、一度眉間を指先で押さえた。

「つまり…彼女が」

 しっかりと、つながった。

「彼女が…俺の妻候補、というわけか」

 お節介な親戚が、必要だと思っていたら。

 意外と身近にいたようだ。
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