極東4th
 さて、そうなると話が変わってくる。

 真理は、修平を追い出し、代わりにタミをもう一度呼んだ。

 家名は聞いた。

 エンドリン。

 極東エリアの、鎧鍛冶の一族だ。

 真理の持つあの鎧も、長い長い歴史を遡れは、タミの先祖が作ったことになる。

 鎧鍛冶は、その仕事の特殊性から、地位を認められている──代々、血筋が高潔な真理とは、意味合いが違った。

 しかし、真理が選択する相手としては、問題があるわけではない。

 魔力を、常人の倍持っているという点も、申し分もない。

 後は。

「君は…自分より身分の低いものに、魔力を分けられるか?」

 この問題点を、どうするか。

 ただの妻候補として来たのならば、こんなことを聞く必要はない。

 しかし、おそらく向こうも、まだ正式にそうなる気はないのだ。

 仕えながら、真理を値踏みする気だろう。

 それならば、問題点をクリアできるかどうか、だ。

「私が魔力を分けるのは…貴方だと聞きましたが」

 石膏の頬が、ぴくりと動いた。

「正確には…俺の鎧だ」

 真理の言葉に、もう一度頬が反応する。

「もっと正確に言ってください…鎧の『どっち』ですか?」

 タミの言葉は、鋭かった。

 さすがは、鎧鍛冶の一族。

 鎧の事は、よく理解しているようだ。

 こればかりは、隠してもしょうがない。

 妻になるにせよ、ただの魔力タンクにせよ、隠しておくことは出来ないのだ。

「憑き魔女だ」

 真理の答えに──タミは、目を伏せた。

 そのまま、時が止まったように動かない。

 おそらく、静かに静かに考えを巡らせているのだろう。

 目が。

 開いた。

「…分かりました」

 タミは──値踏みする時間を、選んだようだった。
< 78 / 273 >

この作品をシェア

pagetop