極東4th
「おかあさん、おはよう…」
ちょっと複雑な気分で、母親に挨拶は済ませた。
夢の中から持ち帰った、記憶のせいだ。
早紀の、父親に関すること。
確かに、住んでいたところの近くに、海はあった。
母親と出かける時に通る道は、いつもどこか魚の匂いがしていて。
だが、それ以外の父親の記憶や、海との関連を探そうとしたが、有力な手がかりはなかった。
そんな、早紀の記憶の糸は、途中で切れてしまう。
好きで切れさせたわけではない。
ノックのせいだ。
「は、はい…」
ベッドの上に座ったまま、母の写真と向かい合って、結構考え込んでいたようだ。
反射的に答えはしたものの、早紀はまだパジャマのままだった。
慌ててドアの向こうに、ちょっと待ってと言おうとした彼女だったが。
遅かった。
ドアが、開いてしまったのだ。
あわわわ。
早紀は、ベッドの上に座ったまま、お客を迎えるハメになってしまったのだ。
そして。
最悪なことに、来訪者は──真理だった。
あ。
昨日の件もある上に、パジャマのままとは、気まずいにもほどがある。
最悪な状況に、早紀が小さくなっていると。
真理が、一人ではないのに気づいた。
彼の後ろに、誰かいる。
修平かと思ったが、もっと小さい。
立っていたのは、真っ黒い女性。
早紀の第一印象は──それ。
真理は、ベッドの上の情けない彼女を見るや、ため息をつく。
「お前は…」
彼の呟いた一言で、十分だった。
痛いほど、早紀もそれに打ちのめされている。
初対面の相手に、いきなりパジャマで会うなんて、と。
だが、その女性は、大きな瞳で部屋の中を見回す動きをした。
「ところで…『その方』は、何処に?」
幸か不幸か。
早紀は、彼女に認識さえしてもらえなかったのだった。
ちょっと複雑な気分で、母親に挨拶は済ませた。
夢の中から持ち帰った、記憶のせいだ。
早紀の、父親に関すること。
確かに、住んでいたところの近くに、海はあった。
母親と出かける時に通る道は、いつもどこか魚の匂いがしていて。
だが、それ以外の父親の記憶や、海との関連を探そうとしたが、有力な手がかりはなかった。
そんな、早紀の記憶の糸は、途中で切れてしまう。
好きで切れさせたわけではない。
ノックのせいだ。
「は、はい…」
ベッドの上に座ったまま、母の写真と向かい合って、結構考え込んでいたようだ。
反射的に答えはしたものの、早紀はまだパジャマのままだった。
慌ててドアの向こうに、ちょっと待ってと言おうとした彼女だったが。
遅かった。
ドアが、開いてしまったのだ。
あわわわ。
早紀は、ベッドの上に座ったまま、お客を迎えるハメになってしまったのだ。
そして。
最悪なことに、来訪者は──真理だった。
あ。
昨日の件もある上に、パジャマのままとは、気まずいにもほどがある。
最悪な状況に、早紀が小さくなっていると。
真理が、一人ではないのに気づいた。
彼の後ろに、誰かいる。
修平かと思ったが、もっと小さい。
立っていたのは、真っ黒い女性。
早紀の第一印象は──それ。
真理は、ベッドの上の情けない彼女を見るや、ため息をつく。
「お前は…」
彼の呟いた一言で、十分だった。
痛いほど、早紀もそれに打ちのめされている。
初対面の相手に、いきなりパジャマで会うなんて、と。
だが、その女性は、大きな瞳で部屋の中を見回す動きをした。
「ところで…『その方』は、何処に?」
幸か不幸か。
早紀は、彼女に認識さえしてもらえなかったのだった。