極東4th
レコーダーが欲しい。
早紀は、講義を受ける生徒となりながら、切実にそんなことを思っていた。
タミの語る言葉は、理解できないものが8割だったのだ。
冷静な口調ではあるが、彼女の戦闘に対する蛇口は、締められることなくダダ漏れになっている。
しかも、難しい専門用語がバンバン飛び出すからたまらない。
それは何? どういう意味?
質問を挟む隙間さえ、見つけられないのだ。
しょうがなく、分かる部分だけを、早紀は拾い集めた。
力のベクトルは、x軸とy軸共に魔族と天族は真反対。
海族は、x軸は魔に近く、y軸が天に近い。
xとyの値が、真逆の海族もいる。
説明の仕方はもっと違ったが、早紀は語られる言葉を、何とか頭の中でグラフに直すことが出来たのだ。
海族の、特殊なベクトルのゆえに。
「海族は生まれつき、天族にしか効かない力を持つものと、魔族にしか効かない力を持つものに別れてしまったの」
言葉の糸が、早紀のグラフの上をすべり落ちていく。
ということは、海族とは言っても、実質的な力は魔寄りか天寄りということだ。
伊瀬は、どっちだったのだろう。
早紀を傷つけなかったということは、魔寄りだったのだろうか。
「勿論…物理的な力技は、別ね」
伊瀬のことを考えていた、彼女の頭の上を言葉が流れる。
その言葉には、若干の軽蔑がこもっていた。
野蛮な、とでも言いたげなのか。
「だから海族の戦士は、みな物理能力を鍛えるの…魔にも天にも対抗できるように」
ああ。
納得してしまう。
彼の、素晴らしい身体を思い出してしまったのだ。
極東魔族の四席の中で、あの身体に対抗できるのは、おそらく1stだけだろう。
「だからこそ…不思議なの」
何か、鋭いものが、刺さったかと、思った。
それが、タミの視線だと分かり、びくびくと彼女を見返した。
「天にも魔にも効く…能力があるなんて」
鋭い目の中を、xとyの軸がうねる。
早紀の力のベクトルに──その黒い手袋を伸ばそうというのか。
早紀は、講義を受ける生徒となりながら、切実にそんなことを思っていた。
タミの語る言葉は、理解できないものが8割だったのだ。
冷静な口調ではあるが、彼女の戦闘に対する蛇口は、締められることなくダダ漏れになっている。
しかも、難しい専門用語がバンバン飛び出すからたまらない。
それは何? どういう意味?
質問を挟む隙間さえ、見つけられないのだ。
しょうがなく、分かる部分だけを、早紀は拾い集めた。
力のベクトルは、x軸とy軸共に魔族と天族は真反対。
海族は、x軸は魔に近く、y軸が天に近い。
xとyの値が、真逆の海族もいる。
説明の仕方はもっと違ったが、早紀は語られる言葉を、何とか頭の中でグラフに直すことが出来たのだ。
海族の、特殊なベクトルのゆえに。
「海族は生まれつき、天族にしか効かない力を持つものと、魔族にしか効かない力を持つものに別れてしまったの」
言葉の糸が、早紀のグラフの上をすべり落ちていく。
ということは、海族とは言っても、実質的な力は魔寄りか天寄りということだ。
伊瀬は、どっちだったのだろう。
早紀を傷つけなかったということは、魔寄りだったのだろうか。
「勿論…物理的な力技は、別ね」
伊瀬のことを考えていた、彼女の頭の上を言葉が流れる。
その言葉には、若干の軽蔑がこもっていた。
野蛮な、とでも言いたげなのか。
「だから海族の戦士は、みな物理能力を鍛えるの…魔にも天にも対抗できるように」
ああ。
納得してしまう。
彼の、素晴らしい身体を思い出してしまったのだ。
極東魔族の四席の中で、あの身体に対抗できるのは、おそらく1stだけだろう。
「だからこそ…不思議なの」
何か、鋭いものが、刺さったかと、思った。
それが、タミの視線だと分かり、びくびくと彼女を見返した。
「天にも魔にも効く…能力があるなんて」
鋭い目の中を、xとyの軸がうねる。
早紀の力のベクトルに──その黒い手袋を伸ばそうというのか。