極東4th
---
 真理にとって、早紀は鎧と同じ意味を持つのだから、その能力には確かに興味があった。

 しかし、理論上の話ならば分かるが、それから外れたものについてはお手上げだ。

 その点、タミは非常に熱心で。

 そして──零子も。

 早紀は、屋敷ではタミに。

 学校では、零子に付きまとわれているようだった。

「何か、成果はあったのか?」

 真理は、自室に来たタミに問いかけてみた。

 早紀と違って、ごく自然に彼の部屋を訪れ、少しの会話を交わして去っていく。

 だが、それはどこが義務的だった。

 最低限の付き合いをしているだけ、というような。

「少しだけ…」

 タミは、何故か自分の手袋の手を見た。

 制服を着ても、その手袋は外さない。

「彼女の魔力を、サンプルにもらいました…」

 じっと、手を見続ける。

 その手袋に、早紀の魔力が乗っているかのように。

「何かが混ざってます…1つのような…2つのような」

 混じる?

 その表現に、真理はひっかかった。

 早紀が、純粋な魔族ではないという意味だろうか。

 彼女の母親の写真が、一瞬だけ頭をよぎった。

 別の種族と、交わったということか?

 しかし、それはとても難しいことのように思える。

 人間の男では、魔女の卵までたどり着くことは出来ないだろう。

 天族など、触れ合うことも出来まい。

 海族なら。

 魔寄りの能力を持つ海族なら、可能性がないこともないのだろうが──敵対関係の相手と、子を成せるものなのか。

「もし、よろしければ…彼女の親の世代の血を知りたいのですが」

 真理と同じ思考に行き着いたタミが、頼みごとをしてくる。

 真理は、一瞬沈黙した。

 違う種族の血が入っているとなると、重大なことだ。

 他の魔族に知られたら、悪し様に言われかねない。

「いや…両親ともに魔族だ」

 真理は、涼しい顔で嘘をついた。

 タミもまた──他の魔族なのだ。
< 93 / 273 >

この作品をシェア

pagetop