極東4th
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 初めて、タミが右の手袋を外すのを見た時、早紀は言葉を失った。

 青く青く、変色した手が現れたからだ。

 そして、動けなかった。

 ここで動揺したり逃げたりすれば、彼女が不快に思うのではないかと、反射的に考えてしまったせいだ。

 早紀の部屋。

 この屋敷に来て以来、タミは頻繁に彼女の部屋に来るようになった。

 友好的ではないが、力というものへの興味は、純粋なものに感じる。

 あくまでも、魔族的な純粋、なのだが。

 そんな彼女に。

「少しだけ、魔力をもらえるかしら?」

 聞かれた時、早紀はとてもとても複雑だった。

 飛びつきたい気持ちと、危険信号の両方が、頭の中でせめぎあったからだ。

 自分が何なのか知りたい。

 その気持ちは、毎日毎日大きくなっていく。

 だが、本当に知ってしまった時──純粋な魔族でなかった場合、早紀はどうすればいいのか。

 しかも。

 それを、タミに知られることになるのだ。

 結局、はいもいいえも答えられなかった。

 いつもどおりの早紀が、炸裂してしまったのだ。

 その沈黙を、どう取ったのか。

 タミは、彼女の目の前で手袋を取ったのである。

 青い、手。

 正常な色、というよりは、変色してしまったような濁った青。

「気にしないで…いろんな力に触れていたら、こうなっただけ」

 早紀より、ひとつ年下なのを知って。

 鎧鍛冶の血筋であることを知って。

 そして、ハイクラスなのも知った。

 でも──深窓の令嬢ではなかった。

 その手を見れば分かる。

「気持ち悪い?」

 早紀に近づきながら、大きな目が見据えてくる。

 慌てて、首を横に振っていたら。

「そう…」

 青い手は、あっさりと早紀の腕に触れていたのだった。

 あ。

 理解した時にはもう遅く。

 どうやら、魔力を持っていかれたようだ。
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