私、いつの間に王子殿下の婚約者になったのでしょう? そして、悪役令嬢って何ですか?
 後日、アーティ王子からレティシアにお茶会の招待状が届いたが、丁重にお断りした。

「レティシアのやつ! 僕の招待を断るとは何事だ! 婚約者であれば招待を受けるべきだろう!」

「アーティ殿下。そもそも殿下とレティシア嬢は婚約なさっておりませんが」

 傍に控えていた侍従がおずおずとアーティ王子に進言する。

「何を言うのだ! 僕は彼女を婚約者にすると決めている!」

「……それは、殿下お一人で決められることではございません」

「うるさい! 僕とレティシアは運命で結ばれているんだ。だいたい将来の国王たる僕の伴侶となれるというのに、レティシアが僕との婚約を断るわけないだろう!」

 侍従は深くため息を吐くと、近くにいる他の侍従たちにこっそりと囁く。

「おい、誰か教えてやれよ。王太子はコーディ殿下に決まったから、貴方は国王になれませんって」

「教えても無理じゃね?」

「だよな。天性のアホ王子には理解不能だろう」

 その場にいた側近たちは、そろって天井を仰いだ。

 そして、皆同じことを思った。

 ――やはり、アーティ王子は不良物件である。

 本人だけがそのことを知らないのであった。
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