私、いつの間に王子殿下の婚約者になったのでしょう? そして、悪役令嬢って何ですか?
 しかし、アーティ王子は開口一番にこう宣言した。しかも少々興奮気味に鼻水を垂らしながら……。

『僕のお嫁さんには世界一可愛くて優しくて、僕の言うことに絶対服従してくれるおとなしい子がいいな』

 令嬢たちは皆微笑んだ。もちろん、微笑ましいと思ったわけではない。

 あ、この王子ダメだわ。

 全員がそう悟ったからである。

 アーティ王子はいずれ国王になるかもしれない。彼の妻になるのであれば、王妃になるということである。

 王妃は国王とともに国を背負う存在だ。時には夫である国王を諌めることがあるかもしれない。

 それなのに、この王子は自分に絶対服従する女性がいいと言う。

 しかも、世界一可愛くて優しい女性って……。

「ちょっと夢を見すぎじゃない? おとぎ話の世界にでも行ってこいや」と誰もが心の中で突っ込んだ。

 その後、アーティ王子は候補者の令嬢たちに次々と質問した。
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