私、いつの間に王子殿下の婚約者になったのでしょう? そして、悪役令嬢って何ですか?
『君は僕の言うことを何でも聞いてくれる?』

『わたくしは、殿下のお言葉であっても間違っていれば、意見を申し上げるべきだと考えております』

『ええっ!? 僕に逆らうの!?』

『逆らうのではなく、正しい道へ導くのが王子妃の役目かと存じます』

『そんなのは嫌だ! 君は候補者失格だ!』

 最初に候補者から脱落したのはクロエだ。彼女はテーブルの下で「おっしゃ!」と拳を握った。

 次々と令嬢たちに尋ねていくアーティ王子だが、返ってくるのはクロエと同じような返事ばかりだった。

 最後に半分不貞腐れながら、アーティ王子はレティシアに尋ねる。

『君は……どうなの?』

『王子殿下。世界一可愛くて優しい女性は、きっと世界一忙しいと思いますわ』

『え?』

『だって優しい人には自然と人が集まってきますもの。王子殿下のお世話をしている暇なんてないと思いますわ』

『なっ!』

 口達者なレティシアにアーティ王子は口を挟む余裕がない。だが、そんな彼に構うことはなく、レティシアは矢継ぎ早に話をする。
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