青い空の下で
落ち着かないと・・・
そう思いながらも,
私の心はこの男の行動と声にまた波立ったいた。


ここ数日,
ようやく自分の中で落ち着き始めた心だったのに。

その男は,
海岸で私が発した言葉の意味を
どうとらえているのだろうか。
私は気になって,しょうがなかった。


しばらく街の雑踏へ向けて,
並んで歩いていた。

アスファルトから上がってくる風が,
夏の終わりだというのに,やたらと熱かった。


はたからみる私たちは,
どう見えるのだろうか・・・

まだ私の手を離さない
男の横顔を見上げながら,私を考えた。

やはりカップルにみえるのかしら。
年下の男を捕まえたと年上の女かしら。

そう思いながら,
自分が不謹慎なことを
考えていることに,
この共有している時間と場所が,
このまま続けばいいのに

と思っている自分に驚いた。

しかし,
どこかからの10時の時計の音が聞こえて,約束の時間を思い出した。


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