青い空の下で
「音羽,時間あるか?」

真人が額をつけたまま聞いていた。

現実に引き戻された私は,
赤面したまま首を横に振った。

もう,娘が帰ってくる時間だった。

「あーーーー」

真人は大きく長いため息をつくと,
私を抱きしめて,

「音羽・・・・ごめんな。」

とボソッと耳元でつぶやくと,
車から降りた。

私は,
その言葉の意味を
どうとらえていいか分からないまま
曖昧な笑顔を真人にむけて家路に急いだ。

kissをしてごめんなのか。
10年前のごめんなのか。
それとも,
これからさきのごめんなのか。

私の頭の中には,
真人の「ごめんな」が渦巻いていた。

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