青い空の下で
第11話
真人と再会してから,
私はモモの散歩にもいかず,
家からなるべく出ないような生活を送っていた。

真人にも尚登にもあの美少年にも
会うことがないように祈っていた。


あれから半月経った頃だった。


「倫子。手紙がきてたぞ。」

帰宅した透が,
ピアノを弾いていた私の目の前に
ひらひらと手紙を揺らした。

私は鍵盤の上を走らせていた指を止めると,その手紙を受け取った。

「同窓会をするのか?
 こんな中途半端な時期に,
 珍しいな。」

「そうね。
 海外に行ってた人が
 帰ってきたみたいよ・・・」

私は渉からの案内状の文面に
眼を通しながら答えた。

「行ってくればいい。
 真子も連れて
 鹿児島へ上がってこいよ。」

着替えをしながら,
透が私に向かって声をかけた。

「そうね・・・・考えとくわ。」

私は,
はっきりと返事をしないまま,
透の食事の準備を始めた。

< 39 / 71 >

この作品をシェア

pagetop