青い空の下で
朝一番の高速船で
私は真子を連れて鹿児島へやってきた。

真子は,自分のバイオリンを抱えて,
そのままレッスンへ行くことになっていた。

私は,結局実家に頼ることも出来ず,
直子に一晩真子をお願いしなければならなかった。

南埠頭に着くと,
直子が桟橋で
興味津々の顔を隠すことなく
私たちの到着を待っていた。


「直子。ごめんね。忙しいのに,
 余計なことを頼んで。」


「任せといて。
 しっかりと真子ちゃんのことは
 面倒をみるから。
 うちの子たちも喜ぶわ,
 お姉ちゃんが来たって。
 それより倫子のほうは大丈夫なの? 
 やけぼっくりに
 火がついたりしないの?」

真人と出会って,
同窓会でセッションをすることを
掻い摘んでした話を聞いた直子は
私以上に舞い上がっていた。

「そんなことにはならないから。
 安心して。」

そう私は直子に伝えると
真子をお願いして,
ライブ会場へ向かった。

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