青い空の下で
第20話
島に帰ってきてから,何事もなかったかのように
日々に雑事に追われてことで時間を過ごしていた。

風が時より激しく吹きつける日が増えてきて,
季節は確実に冬へ向かっていると感じながら
モモと一緒にいつもの散歩道を歩いていた。

「やっぱり音羽さんだ。」

不意に後ろから声をかけられ,私は驚いて振り向いた。

そこには尚登さんと美少年が小さい犬を連れて
立っていた。
相変わらずの綺麗な顔立ちの二人に一瞬見とれてしまい,
ボーっとしている自分に,

「ねえ,何を犬相手にブツブツ言ってるの?」

と首をかしげながら,口元を緩めて美少年が聞いていた。

「そうね。美少年くんには分からない大人の事情かしら。」

と意地悪く答えると,美少年は頬をプーと脹らませて

「美少年ってことは認めるけど,俺の名前は瀬里亜だ。」

と不満げに自分の名前を告げた。

「瀬里亜なんて,本当中世的な素敵な響きの名前ね。
 あなたにぴったりだわ。」

私はさっきから視線をそらさない尚登さんのきつい眼差しから
逃れるように,前を向いて歩き出した。

こんな綺麗な二人と一緒に歩いている姿を誰かに見られたら,
それこそ,この島では色んな噂を脚色されながら一気に知れ渡ってしまう。
きっと,こんな二人が島にいることも,すでに有名になっていることだろう。
そんなことを思いながら,私は足を進めていた。

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