お隣さんの恋愛事情



合コンではお約束の(私の中では)二人で抜けようお誘い文句を言われ、私はまた口から何かが出そうになった。こんなふうに誘われたことがなかった私は、キョロキョロしながら朝子を探す。が、肝心な時にアイツはいない。

だけど、朝子なら行けって言うだろう。そう思い、返事を急かす芸人寄り男に、二つ返事をした。



「やった!じゃあ俺先に店出るから、恭子ちゃん後から出てきて!」



「わかった!」




この時、トイレに行っていた朝子を大人しく待っていれば、あんなことにはならなかったんだと思う。
今まで恋愛という恋愛をしたこともなく、ナンパもされたこともなく、ましてや合コンなんて初めての私には、男を見る目なんてあるはずがなかった。




―――…




浮かれてルンルン気分で店を出た私は、待っていた芸人寄り男の後をついていった。
とりあえず飲み直そうってことで、さっきの店からだいぶ離れた飲み屋に入った。


今まで朝子の目もあり猫を被っていた私は、飲みたくて仕方なかったビールや焼酎を注文する。

はい、うっかりすっかり忘れてました。「私あんまりお酒飲めないし」なんてブリッコしていたことを。



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