お隣さんの恋愛事情
「大丈夫?どうしよ、恭子ちゃんの家がいい?」
は?こんな状態でうちに来てまで飲み直す?バカじゃねぇのか、コイツ。
「もう無理…飲めない…」
「わかってるって!とりあえず恭子ちゃんの家行こ?」
なんだ。送ってくれるのか。なかなかジェントルマンじゃないか。
優しい優しい顔で私の肩を抱き、芸人寄り男はタクシーに乗り込んだ。
その後はウトウトしながらも、何とか家までの道案内をして、約15分後に我が家へ到着。
マンションの入り口まで来ても彼は未だに私の肩を抱いたままで、何だか馴れ馴れしいなとは思ったけど、一人じゃとてもじゃないけど歩けない。チラッと横目で見ればニコッと笑っている。
フラフラする足取りで、もうほとんど回っていない(いつもだけど)頭と重い体を引きずられるようにしてエレベーターに乗った。
「恭子ちゃんの部屋何階?」
「んーとね、7階!あっ、…やっぱ8階だ!」
ヤバいヤバい。7階は前に住んでたとこだ。
真っ直ぐに上へ上へと上がっていくエレベーターの中は、酒の匂いと生温い空気で気分が悪くなった。
ちょっとヤバいかも、なんて思ったりもしたけど、どうせすぐ着くからと安心していた。