林檎と、キスと。


“このままふたりで年を越せたら”

そんなバカな考えを、今の今まで抱いていた。


本当はもう、熱なんか下がってるのに。


今年最後に会う人は、どうしても彼であって欲しかったから。

彼が、大好きだったから。


彼に電話をしてしまったの。


「……だったら、来なくてもよかったのに…。そしたら…」

そのあとに続く言葉をのみこんだわたし。


これ以上、惨めな思いはしたくなかった。


それなのに彼は、

「そしたら?」

その続きを欲しがった。

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