実の弟に恋をしました。
重たい目を擦りながら、階段を降りる。
冷たい廊下を、裸足でヒタヒタ歩いて。
リビングからは、トーストの香ばしい香りが漂ってくる。
「あら、おはよ」
あたしの気配に気づいたお母さんが、キッチンの奥からひょっこりと顔を出した。
「おはよ。……陸は?」
「それが、いくら呼んでも全く起きないのよ。真弥、起こしてきてくれる?」
「えぇっ…」
あ、あたしが!?
正直、陸がいなくて、少しだけほっとしたところだったのに…。
「いいじゃない。ほら、トースト冷めちゃうから早く」
「う、うん…」
拒否する暇もなくお母さんに促され、あたしは渋々と陸の部屋へ向かった。