愛しいキミへ
げっ・・・
あのケーキ屋、結構高いんだよなぁ~
そんなやりとりをしつつも、沙菜は悠兄から投げられた物を見つめていた。
手の中にあったのは、薄いピンクの紙に包まれた小さな箱のようだった。

「開けないの…?」
「ここじゃ人に見られるし…あとで。」

大切そうに、小さな手で包み込んでいた。
誕生日を一緒に過ごせないのが寂しい・・・でも、忘れずにプレゼントを貰えたのが嬉しい・・・そんな複雑な表情をしていた。

「ほら、ケーキ買ってやるから。帰ろうぜ。」

ぽんっ
軽く沙菜の背中を叩き歩き出す。
すると「うん。」っと微笑みながら、俺の後を歩きだした。

「雅樹。今日は何か用事ある?」
「…帰って睡眠。」
「よしっ!暇だね!このあと沙菜ちゃんのお誕生日を祝いなさい。忘れてた罰!」

・・・忘れていた手前、何も言えずに従うしかなかった。
離れようと思うと、近くにくる。
距離をとれないことが歯がゆかった。
でも・・・今日だけ
今日だけは許してください
沙菜の生まれた嬉しい日に、一人で過ごさせるなんてことさせたくないんだ
今日が終わったら、ちゃんと由香利と向き合うから───

一緒にケーキを買いに行き、一緒に帰宅をした。
制服のまま沙菜の家へと行く。
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