愛しいキミへ
「好きだ。」

気持ちを伝えたかった。

「ずっと…小さい時から沙菜が好きだった。」
「沙菜が悠兄を好きになる前から…ずっと…ずっと。」
「沙菜と悠兄が付き合っても、諦められなかった。…好きじゃない時なんてなかったっ。」

ぎゅうぅぅぅっと抱きしめる力を緩めない。
今しかないと思ったから・・・全身で気持ちを伝える。

「…雅樹…痛いよ…。」

沙菜の、か細い声で我に返る。
抱きしめる力を緩めて体を離す。
突然の告白に戸惑う沙菜の顔を見つめる。

「好きだ…。」

目を見て、もう一度静かに伝えられた想い。
他には降り続ける雨の音しか聞こえない。
お互いびしょびしょに濡れたまま見つめあった。

「…私は…悠ちゃんが好きなんだよ?」

沙菜の気持ちはわかってる。
でも・・・もう今しかないんだ。
沙菜を自分のものにするには・・・今以外にチャンスはない。
だからどんなにひどい言葉か、わかっていたけど言ってしまった。

「悠兄に…【沙菜を任せた】って言われてる。もう、悠兄は戻る気ないよ。」

ショックを隠せずに目を閉じた。
今、沙菜の頬に流れる滴は雨じゃなく、きっと涙だ。
今度はそっと・・・壊れないように優しく抱きしめた。
雨で冷えきった沙菜の体はとても冷たかった。
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