林檎と蜂蜜

「じゃあ今日は一人で帰ろうかな。」

梨紗は珍しくそう言った。横に居る草壁もこれには驚いたようで、目を丸くして梨紗を見ている。

「猛のとこには行かないの?」

「え、うん。どうして?」

なんで草壁がそんなことまで知ってるんだ、と思いながら、そういえばコイツは去年猛と同じクラスだったことを思い出した。梨紗が困惑してるのも無理はないだろう。

梨紗は自身がどれだけ噂になっているかを知らない。猛との付き合ってるっていう噂がついこの間まで立っていたのだって知らなかったみたいだ。それはそれでよかったんだけど。(俺的には超不愉快な噂だったし。)

「まぁ、そういうことで今日は先帰っといて。」

「うん。」

弁当を食い終わって解散しかけたときに、予鈴がなった。一応猛にメールしとくか。

俺の席は教師から手元が見えにくい、一番後ろの窓際から2列目だ。適当にメールを打って、携帯を閉じた。
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