林檎と蜂蜜
「梨紗、今日暇ー?」

ホームルームが終わってすぐ、猛は俺らのクラスに来た。

「うん、なんで?」

「デートしない?スタバに新しい珈琲が出たらしくてさぁ」

デート という単語に俺の額がピクリと動く。猛を無言で睨む。奴は俺の方に一瞬目配らせして、にやりと嫌な笑みを浮かべた。

「うーん、お金あんまないや」

「今日はおごったげるよ。」

「ほんとっ?!じゃぁ行くー」

梨紗のちょっとだけ憂鬱そうだった顔が途端に明るくなった。ゲンキンな奴だ。

俺はホっとした反面、梨紗と猛が2人になるということに一気にテンションがさがった。今日俺を呼び出した先輩は、結構美人だって聞いてたからちょっとだけ楽しみだったのに。

ま、言われることなんてたかだか知れてるけど。
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