2LDKのお姫様
しかし、荷物を纏めていると、しゅいろが部屋へやってきた。



「何さ、しゅいろ」



そして必死に服をカバンに詰め込んでいるホノカの横に来て、しゅいろも荷造りを始める。



「ホノカ先輩だげ逃げるなんてズルいんですよ」



どうやら2人して逃亡を謀るらしいが。



「まあ良いわ。あと問題なのはどうやって家を出るかだよ」



「シオリ先生、確か部屋に戻ったから、今なら出れるかも」



ひっそりと、忍び足で玄関へ向かう2人。



「よーし、」



静かに、物音一つ立てず玄関についた2人。



しかし、そう何でも簡単に行く人生など存在しない。



『おふたりさん、何してるの』



リビングの方から聞き慣れた声。



「え」



思わず身震いするホノカとしゅいろ。



「少しね。天気も良いし散歩にでも行こうと」



『へぇ……そんな大荷物で』



シオリの厳しい視線が刺さる。



「あ、電話だ」



そんな息を呑む展開は一本の電話で終わろうとしていた。










.
< 153 / 280 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop