2LDKのお姫様
「なあんだ大くんか」



大くん、という言葉に今度はシオリが揺れる。



「何か用」



『…………………』



シオリは黙っていたが、内心は気になる。



「シオリ、いるよ。今すごく怒ってるの。どうにかしてよ」



『……………』



無言の恐怖が何より怖い。



直ぐにホノカも手を打つ。



「私ちょっと出掛けるから、シオリには直接かけてよ。今暇してるから」



10秒ほどの沈黙の後、やっとシオリの携帯に電波が届いた。



相変わらず変な着信音だなと内心笑いながらも、2人は表情を崩さずドアノブに手を掛ける。



『ちょっと、待ってなさいよ』



シオリがリビングに携帯を取りに行く。



その隙に……



「今だ」



『ちょっと……』



しかし携帯は鳴り止まない。



『…………もぉ』



ため息をつきながら、携帯の通話ボタンを押した。










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