2LDKのお姫様
9 おやゆび姫
□ おやゆびひめ
(リメイクのリメイク始動!)


カフェで1人で食事するのは勿体無くて、つい彼に誘いの電話をかけた。


来てくれるかの保証よりも、まず電話に出てくれる保証も無いのだが、どうせ無駄に高い食事をわざわざ構外のカフェで食べるのだから、是非とも誰かと食べた方が得だ。


意外にも彼はワンコールで出た。


『あのね……、』


シオリは知らないが、大はシオリの電話だけにはメロディーを特別に選択していて、必ず直ぐに出るようにしている。


それはゼミの会合中でさえ実行されるらしい。因みにホノカには、メールさえ中々返さないという。


「ごめん今、研究室にいるんだ」


『そう……なら良いの。ごめんね邪魔したわ』


「いや行きますよ。そこ大丸の近くでしょ」


その後、彼は直ぐに駆けつけた。


「なんか久しぶりですね」


2人きりでの外食は随分久しぶりの事だ。ホノカたちにはいつも節約を訴えている手前、なかなか行かない、いや行きづらいのだ。


『ごめんね。忙しくなかった』


「全然」


大は珍しく満遍の笑みで応えた。


その異様な笑顔にシオリは一瞬ギクッとなった。





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