2LDKのお姫様
『そういえば、今日はこの後、家にいるの』


今日は平日。シオリは実習終わりで少し長い休日。


「今日は………、ゼミだけだからいますよ」


ゼミを休むつもりなのか、シオリには考えられないことだ。


『暇なゼミね』


「教授がやる気ないんですよ。単位は足りてるし、司法試験の自習室みたいになってるゼミですから」


『そういえば司法試験受けるのよね』


「まあね。今年は無理だろうけどさ、二年以内には狙ってますよ」


彼は一応法学部に通っている。しかし法曹になるとはあまり聞いていなかった。


『勉強忙しいの』


「そりゃあね。でもまあ、この2年以上はバイトかその勉強しかやってないから」


大は確かに家にいるときは勉強、いない時は9割がたバイトばかりしている。


『今日も勉強するの』


「どうしてですか。もしかしてシオリさん、来てくれるんですか」


シオリは今日は暇である。だからこうして頑張って口実を作っているわけだが。


『いや、ただ昨日からあの子たち実家に戻ってるから私1人で』


しゅいろは毎日いるように見えるが意外に金土しかアパートにはいない。


「それは寂しいですね。俺がそっちに行こうか」


『忙しくないの』


「全然」


また彼が満遍の笑顔を見せるので、今回はまるでにらめっこに負けたような、そんな気がして赤面してしまった。





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