鈴が鳴る時―王子+ヌイグルミ=少年―
 鈴音は暁を持って、また投げるポーズ。

「わー!待て待て!ごめんって!」

「むぅ。…許す」

 暁を降ろすと、鈴音は立ち上がってドアに向かう。

「どこに行くんだ?」

「リビング。朝ごはん食べに」

「俺も行く!腹減った!」

「ヌイグルミは食べれないし、家族の前では人の姿になれないでしょ?」

 鈴音は冷たく言い放つとドアノブに手を掛けて、今にも出て行きそうだ。

「じゃあ!俺の分も持ってきてくれ!この部屋ならいいだろ?なぁ?」

「分かったわよ。大人しくしててね」

「おぅ!」

 鈴音が部屋を出て行って数秒後、階段を下りる音がした。

「…」

 暁はすーっと息を長く吐くとヌイグルミの姿から、徐々に人の姿に戻る。

 詠唱を唱えなくても戻れるように、夏章に今日の早朝、無理やり死ぬ気で覚えさせられた。

 暁は部屋を一周見回すと眉をしかめる。

(この部屋――――)

☆★☆

「暁。朝ごはん持ってきたわよ」

 鈴音はお盆に乗せた朝食のトースト二枚、牛乳、サラダ、トーストに塗るジャムを持って、部屋に入ってきた。

 そして顔を上げてそこに見たのは、人バージョンの暁。
 
 目をキラキラキラキラと輝かせて、鈴音を見ている。

 …正確には、鈴音が持ってきたお盆を。

「待ってましたぁー!朝飯ぃー!」

「言っとくけど、これ、私の分も入ってるからね?部屋で食べるって言ったんだから」

「分かった分かった。朝飯ぃー!」

 鈴音は呆れ顔でお盆を机に乗せる。

 暁はまだ目を輝かせてじっと見ていた。

 パンッと鈴音が両の手を合わせて

「それでは、いっただっきまーす!」

「頂きまーす!」

 挨拶して三分半。

 お盆の上は空っぽになった。どうやら二人共早食いのようだ。凄い。

「ご馳走様ー!はぁー、美味かったー!」

 幸せそうな様子の暁。

 鈴音は牛乳を差し出しながら、前々から聞こうと思っていた事を聞く事にした。
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