秘密の片思い
「愛さん、違うお箸を持ってこさせるから良いのよ?」


郁斗の母がお手伝いさんを呼ぼうとした。


「いや、お袋良い 部屋で休ませる」


愛の様子を見て取った郁斗は愛を立ち上がらせた。


「痛むんだろ?」


「お食事中にすみません」


郁斗には答えず、朝倉の両親に謝る。


「良いのよ 退院したばかりで疲れてしまったんだわ まだ寝てなければいけないのに」


朝倉の母がおろおろしている。


「郁斗、先生を呼んだ方がいいんじゃないか?」


朝倉の父も慌てている。


「だ、大丈夫です お食事をしてください」


郁斗の腕に支えられた愛は心配する2人に言った。


「愛ちゃん、大丈夫かな 千波くん 辛そうだったね?」


ダイニングルームを出て行く2人の後姿を見て日菜は呟いた。


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