秘密の片思い
ダイニングルームのドアが閉まると郁斗は愛の膝の裏に腕を差し入れて抱き上げた。


「い、郁斗 大丈夫だからっ!」


「いいから」


愛の抵抗に郁斗はかまわず歩いた。



* * * * * *



薬を飲みベッドに横になった愛はすぐに目を閉じた。


その姿を見て郁斗は唇を噛む。


まだ退院は早かったかもしれない。




しばらくベッドに端に腰をかけて愛を見守っていると小さな寝息が聞こえてきた。


その小さな寝息に郁斗は安堵する。


眠ってしまえば痛みはやり過ごせる。



< 465 / 646 >

この作品をシェア

pagetop