ノンステップ・シュガー
「ゴメンゴメン、ついね」

すこしだけ笑っていると、頭上からお待たせしましたと声が聞こえた。きたコーヒーに砂糖を混ぜ、ズズ、とすする。

「好きになっちゃったんだよねー…けどね、竜、新崎の…その…き、き、…」
「キス?」
「……うん…それが…その…」
「なに、嬉しかったんじゃねーの?」
「うん…うれしかったのは、うれしかったんだけど…その…ね…」

竜はコーヒーをすすりながら私に耳をかたむけていた。そのつぶらな瞳には嘘はつけない。だからなんでも言えるし、素直でいられる。

「いたかった、の」

その言葉に竜は一瞬小首をかしげ「は?」とつぶやく。「痛かったって、なにが」

「わからない…」

「は?」二度目の言葉だ。だけど本当にわからないのだ。自分のことなのにわからない。キスが痛かったのか、それとも気持ちが痛かったのか、それすら−−
< 8 / 12 >

この作品をシェア

pagetop