ノンステップ・シュガー
「…あー…それって、もしかして”シュガーレス・キス”ってやつ?」

竜の言葉に「は?」と小首をかしげ、言葉の意味を考えてみる。シュガー。砂糖。甘いもの?

「甘さのない、キス…」
「そう」
「つまり、」

「愛のない、キス」

”愛のない、キス”…−−−
私はそれを胸の中で繰り返した。

「新崎が、私を好きでもないのにキスしたってこと…?」
「そう」

そんな、好きでもないのにキスをするだなんて…
私はそれが認められなくて、みとめたくなくて、新崎がそんなことする奴だなんて思いたくなくて。

「…そんなことってあっても良いの?私は…だって、絶対に好きな人とじゃなきゃできない…」
「だけど新崎千春は違ったってことだろ」

そう淡々と言ったあとに、竜の背筋が少しだけ丸くなった気がした。
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