いちえ
「緊張してんの?」
「えっ?え〜…ちょっと…」
「…そうか」
突然声を掛けられたせいか、驚いて瑠衣斗を振り返った。
…るぅ…?
じっと見つめる瑠衣斗の瞳が、何故だか不安定に揺れているようで、何だか胸が締め付けられるようだ。
一体どうしちゃったの?
何だか今日のるぅ…やっぱり変だよ。
見つめる瑠衣斗の瞳が、フッと伏せられる。
まるで、心の奥を見られたくないような、見て欲しくないような、そんなような感じがした。
「俺も。めちゃくちゃ緊張してる」
「…るぅ…どうしたの…」
そう聞いても、返事はない。
前を向き直し、どこか遠くに視線を向ける瑠衣斗に、何とも言えない空虚感で覆い尽くされていくようだ。
どうしてるぅが、緊張するの?
どうしてそんなに、苦しそうな顔をするの?
どうしてずっと、手を離してくれないの?
どうして何も…言ってくれないの?
たくさんの疑問と、不安。
昨日までの瑠衣斗とは、180度違う。
どうして一度も…キスしてくれないの?
好きって言ってくれないの…?
「お待ちど〜さん。珈琲で良かったかな?」
空気を変えるような、穏やかな橋田先生の声により、何となくホッとした自分がいた。