いちえ
たわいもない話をしながら、色々な所を歩いて回った。
一つ一つに感動する私は、そのどれもから瑠衣斗の面影を探していた。
ここで、どんな風にるぅは過ごしていたんだろう。
毎日、何を考えていたんだろう。何を見ていたのだろう。
どんな友達が居て、ひょっとしたら彼女なんかも居て……。
ちょっとかなりヤキモチ妬いちゃうしムカムカしてモヤモヤして想像もしたくないけどさ。
モテない訳ないもん。知り合ってからですら、めちゃくちゃモテてたんだもん……。
「うわ、懐かしいなあ…」
そんな私の勝手なヤキモチは、瑠衣斗の言葉に意識を逸らされた。
立ち止まる瑠衣斗が見上げているのは、3-Eと書かれてあるプレート。
今までずっと、廊下を歩いてきただけで、どこの部屋も覗いてきてはいない。
施錠されている所もあるため、廊下から見える室内をチラチラと眺めながら歩いていた。
「るぅのクラス?」
私の言葉に、小さく笑みを浮かべた瑠衣斗が、小さく頷く。
「こうやってここに来るのは、卒業以来」
「ねえ、中に入ったらダメ?」
そんな私の言葉に、瑠衣斗が不思議そうに私を見つめる。
「入っても面白くも何もねえぞ?」
当たり前のように言う瑠衣斗に、ガックリとうなだれそうになる。
本当に、この人は乙女心と言う物を知らないのだろうか。
「るぅのクラス、見たいからに決まってるでしょう?」
呆れてそう言った私を、ポカンと見つめていた瑠衣斗が徐々に頬を赤く染めていく。
そんな瑠衣斗を見ていると、なぜだか私まで顔が熱くなっていく。
別に恥ずかしい事も変わった事も言った訳でもないのに、私とるぅって周りから見たらとても変なんだろうな。