幸せ色の贈り物





――ちづ。


「えっ…?」


またまた意識を飛ばしていたあたしに、エレナの優しい声が届く。


普段はあたしを“チーズ”と呼んで、まるでペットみたいに扱うエレナが、あたしを“ちづ”と呼んだ。


そんなときのエレナは、とても真剣。


真剣で、とても優しい。


でも…


「エレナ…?」


「……ごめんね、ちづ。」


今日のエレナは、辛そうな顔をしてる。


「……えれ…」


エレナ、どうしたの?


そう聞こうとしたあたしを見つめ、エレナはふっ…と小さく優しく笑った。


「ちづ。あの場所だよ。」


「えっ?」


「3年前、ちづがあいつから逃げ出した場所。」


さーっと、風が流れた。


とくん…と、胸が揺れる。


「そこに…あたしからちづへの、プレゼントがある。」










クリスマスには、奇跡が起こる。






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