桜色レモン味

 乾いた落ち葉は、踏みしめると、かさりと音をたてた。

「奈子ちゃんと柴崎くんって、幼なじみだったの」
 別れ際に樹里が、少し間延びした声で私にたずねた。
「一応、ね」
「仲良しだったんでしょ」
「誰に聞いたの?」
「5組の、加田さん。奈子ちゃんのお家の近所でしょ」
「うん」

 赤みを増した陽は少しずつ沈み、私と樹里はそれぞれの家へと向かう足を少しだけ速めた。
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