梟~幼少編~
「兄さん!」

翼飛はハッと目を覚ました。そこには羽陽が翼飛の体を揺さぶっていた。

「羽陽…。尚偉は…?夢?」
「兄さんずっとうなされてたわ。尚偉。尚偉って」

ズキッ

急に左腕が痛み出し翼飛は腕を押えた。よく見ると服に血が滲んでいた。

「そうか。この傷が治らない訳。先生が言っていたことも分かった」
「兄さん?」
「俺は勘違いをしてたのか」

そう言うと翼飛は大笑いをした。
羽陽は困った顔をした。

「羽陽ごめんな。お前には心配をかけすぎたな。決めたよ。もう落ち込むのはやめだ!夢の中で尚偉と約束したからな。尚偉の分も生きるって」
「兄さん」

羽陽は泣きそうになっていた。

「教育係のこと引き受けようと思う。怪我が治るまでだけどな」


こうして翼飛は決心した。
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