Cry!Cry!Cry!

健太先輩とヒカルくんの言い合いはヒートアップする。


すると、突然、健太先輩はヒカルくんの胸倉をつかんだ。




あたしはとっさに浅見さんの裾を引っ張った。


「ねぇ…止めたほうがいいんじゃない?」


「なんで?」


浅見千尋は興味なさげにため息をつく。



「なんで男同士の言い合いに女が仲裁すんの。」



だって…ヒカルくんが…。


でも、ヒカルくんは負けなかった。


何を話しているか耳に入りはしなかったけど


ヒカルくんが必死に言い返し、自分の意見を言い、


説得してる波長が聞こえる。



いつもと違うヒカルくんの顔だ。


それが…それを持つ姿を…

あたしではなく浅見さんが知っていた事に



自分がカッコ悪いと思う。





意識を解くと今度は隣で遠ざかる足音が聞こえる。



「あれ?浅見さん、プリントは・・・?」


「待ち飽きた。」


そう一言言っただけでさよならは言わずに行ってしまった。



もう少し待てばいいのに…。




「あっ!夕実さん!!」


ビックリして振り向いてしまった。


ヒカルくんはさっきとは打って変わっていつもの可愛らしい笑顔で笑う。




「先に部活行ってるね。」



それだけ告げ、彼もあたしの目の前から居なくなる。


そっけなく感じだけど、


遠くから見えるヒカルくんの背中は


そんな気分じゃないと言っているみたいだった。


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