Cry!Cry!Cry!
歩く音しか聞こえない真っ暗闇の中、
ヒカルくんが持っている懐中電灯を頼りに
ゆっくり前へ進んだ。
「道こっちであってる?」
「あっ…ひゃぃっ。」
げっ…変な返事の仕方しちゃった。
「くくくっ」
右隣から笑い声が聴こえた。
「あれ?ヒカルくん、笑った?」
「へ?ううん。」
ヒカルくんがいるのは左隣り。
逆から聞こえてくる不気味な笑い声。
これってまさか・・・
ねちょっ
「ぎゃあああああああああああああっっ!!!」
右の頬に冷たく柔らかいものが触った。
あたしは無意識にヒカルくんにしがみついた。
「夕実さん、大丈夫だよ。こんにゃくだから…」
「ぎゃあああああああああああああっっ!!!
ごめんなさぁぁぁぁいいぃぃぃぃっっ!!!」
今度はヒカルくんの腕をつかむ自分に驚く。
「おばけだぞぉぉぉっっ!!!」
「うわぁぁぁぁっ!!!健太先輩だぁぁぁぁぁっ!!!」
目の前から長髪のカツラをかぶった健太先輩がこっちへ走ってくる。
「って、え?健太先輩じゃないですか。」
「なんでお化けじゃなくて俺に驚くんだよ。」
健太先輩はやってられなそうにカツラを脱いだ。
「あーっ、もぅ心臓が止まるかと思いましたよ。。。」
「ゆーみんが驚きすぎなんだよ。」
いや…だって…トップバッターがこんにゃくって…
しかも、ヒカルくんにしがみついちゃったし…
そして、いきなり我らのエース健太先輩が出てくるし…
「あっ、もぅそろそろ神社だよ!!」
ヒカルくんはいつの間にかあたしの地図を持っていた。
「じゃあ、進もう!!」
「俺も影になってついて行くわ。」
「いや、影は怖いです。」