小悪魔は愛を食べる
* * *
蛍光灯で明るく照らされた保健室の中央に設置された大きなテーブルを占領して、真鍋と芽衣が昼食をとっていた。
芽衣の可愛らしい声が部屋の中を賑やかにしていて、凛子が楽しそうに時たま会話に入ってくる。
そしてそれを聞き流しながら真鍋がコンビニのパンとおにぎりを完食して、芽衣の弁当箱を眺めていた。
「でね、ナナのおべんとはマジでほんとにやばいくらいおいしいの。ほっぺたおちるよ」
「へえ」
ほっぺたがおちるとは、これまたレトロな言い回しだと変に感心しながら真鍋が頬杖をつく。
けれど芽衣は真鍋がそんな事を考えてるとはちっとも気付かないまま、ひどく楽し気にころころ表情を変えて喋り続けた。
「イチもね、ぜっさんだったよ」
「絶賛ね」
興味ないですという態度で相槌を打ち、芽衣の減らない弁当箱の中身を眺める真鍋に、芽衣がふいに問いかけた。
「そういえばさ、真鍋くんて好きな人とかいるの?」
「急に話変わるな、おい」
「いーじゃん。で、いるの、いないの?」
「いる」
「えー!うっそ!?いるの?いるの!?誰!?」
「壱弥」
「っ!?だっだだだ駄目だよ!イチは駄目だよ!あげないよ!!」
「冗談だっつの」
小学生を相手にしてるみたいな感覚に、真鍋が喉の奥で笑った。芽衣がむっと不満そうな表情をする。そこから少し考え、ぱっと顔を上げた。
「あ、わかったぁ!ヒメでしょ?」
「ナイ。それだけは絶対ナイ」
力いっぱい否定した真鍋に、芽衣が「あれぇ」と間抜けな顔をした。
こんな顔でも可愛いのかと思いつつ、いいから早く食べろと真鍋が視線で促すと、芽衣は素直にまた食べ始めた。
凛子が忍び笑いを漏らす。
蛍光灯で明るく照らされた保健室の中央に設置された大きなテーブルを占領して、真鍋と芽衣が昼食をとっていた。
芽衣の可愛らしい声が部屋の中を賑やかにしていて、凛子が楽しそうに時たま会話に入ってくる。
そしてそれを聞き流しながら真鍋がコンビニのパンとおにぎりを完食して、芽衣の弁当箱を眺めていた。
「でね、ナナのおべんとはマジでほんとにやばいくらいおいしいの。ほっぺたおちるよ」
「へえ」
ほっぺたがおちるとは、これまたレトロな言い回しだと変に感心しながら真鍋が頬杖をつく。
けれど芽衣は真鍋がそんな事を考えてるとはちっとも気付かないまま、ひどく楽し気にころころ表情を変えて喋り続けた。
「イチもね、ぜっさんだったよ」
「絶賛ね」
興味ないですという態度で相槌を打ち、芽衣の減らない弁当箱の中身を眺める真鍋に、芽衣がふいに問いかけた。
「そういえばさ、真鍋くんて好きな人とかいるの?」
「急に話変わるな、おい」
「いーじゃん。で、いるの、いないの?」
「いる」
「えー!うっそ!?いるの?いるの!?誰!?」
「壱弥」
「っ!?だっだだだ駄目だよ!イチは駄目だよ!あげないよ!!」
「冗談だっつの」
小学生を相手にしてるみたいな感覚に、真鍋が喉の奥で笑った。芽衣がむっと不満そうな表情をする。そこから少し考え、ぱっと顔を上げた。
「あ、わかったぁ!ヒメでしょ?」
「ナイ。それだけは絶対ナイ」
力いっぱい否定した真鍋に、芽衣が「あれぇ」と間抜けな顔をした。
こんな顔でも可愛いのかと思いつつ、いいから早く食べろと真鍋が視線で促すと、芽衣は素直にまた食べ始めた。
凛子が忍び笑いを漏らす。