妹の恋人は姉の彼氏の従弟
私の拳は怒りで
ふるふると震えていた

廉人さんがいなければ
この拳は
客人の頬に向かって
飛んでいただろう

「どの部屋、使っていいの?」

「その前に自己紹介だろ」

廉人さんが
従弟の肩をたたいた

従弟は私の頭からつま先を
じろりと見たあと

「海堂彰吾です」

と、ぼそっと呟いた
小さい声に
私の苛々度が増した

「部屋は、こっちだ」

従弟と廉人はまた廊下へと出て行った
私はソファに座って
冷めてきた紅茶を飲んだ

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