【実話】ありがとう…。
家に着き、鍵を開け中に入ると、朱羅が傍に来て離れない。


餌の用意をし、水も取り替える。


トイレも綺麗に片付け、砂を足してあげる。


ホッとした途端、携帯が鳴る。


「もしもし」



「望―。たかが…たかが、今日明日だって」

そう言うとお母さんは泣き崩れ、電話は切れた―‐…。


ポタポタと床に落ちる涙。

朱羅が傍に来て、悲しそうに、

「にゃーん」

と一声鳴いた―‐。


「朱羅…」


朱羅に目をやると、たかさんの部屋のドアが開いていて、電気が付いてる事に気付く。


不思議に思い、部屋へ入り後悔した。


部屋の中は、スッカリ模様替えされていて、壁にはコルクボードに沢山の写真が貼ってある。


たかさんと仲良さそうに、頬と頬をくっつけ、笑って写ってる。



「誰…?」


ピンと来た!

飲み屋の女…ミホだって。


女の勘って恐ろしいね。

でも…認めたく無かった!!

信じたくなかった!!


でも…今、目の前にある光景が現実―。


部屋に居るのが辛くて、電気を消し部屋を出る。


「みゃーん」

と鳴いて朱羅が傍に来る。


朱羅を抱き上げ、

「朱羅…。ごめんね、私行かなきゃ。


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