sky
「桜、いつもここにいるの?」



―――ドクンッ



初めて呼び捨てで呼ばれる下の名前に、私は妙な違和感を感じた。


「4時限目でここに来て、昼休みに帰ってる」


「家、好きなの?」


――――家が、好き?


誰があんな家。


大嫌いだ、あんな家。


どうせなら燃やしたっていいくらいだ。




どんどんこみあげる怒りのような気持ちが、私の胸を圧迫する。


いっぱいになった胸の中は、ついに声になって爆発した。


「あんな家大嫌い!!」



思ったよりも大声が出た。


矢宮は、少し驚いていたが、その反面少し優しい顔をしていた。


「俺も家嫌い。だけど…」


矢宮は、少し間をおいて言った。


「俺の部屋から見る空は、大好き」


矢宮が笑った。


それはまるで、光っていると錯覚させるくらい、眩しい笑顔だった。
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