sky
「いいなぁ。家から見る空が綺麗なんて。」


私の家から見るものは、何もかもが濁っていて、薄暗い。


あの綺麗な空でさえ、光を失ったように見える。


「桜、ついてこい」


何気なく握られた私の右手から、矢宮の温度が伝わる。


温かい、手……。


私は何だか懐かしくなって、矢宮の手を強く握り返した。





小さい頃、右手にはお父さん、左手にはお母さんの手があって、3人で笑いながら公園に行った。


その時の手は、すごく温かくて…優しかった。





少しうつ向いて今にも泣きそうな私を、矢宮は横目で見て、また前を向いた。


握られていた手の力が、更に強くなった。


その強さはまるで、「独りじゃないよ」と言ってくれているようで、私はまた涙が溢れた。


それと同時に、嬉しさがこみあげる。




自分を、支えてくれる人がいるのって、すごくすごく…幸せなんだ。
< 31 / 33 >

この作品をシェア

pagetop