幻妖奇譚
 放課後、帰り支度を始めるあたしの周りに光江たちが集まって来た。

「沙希の所は、どうするの? “お母さん”いないのに」

「まさか、お父さんが来るの? 女の人の中に男が1人なんて恥ずかし~い」

「だったら、だーい好きなパパに女装してもらえばぁ?」

「やだッ!! それキモーイ!!」


 好き放題に言って来る3人。俯いて何も言わないあたし。

 なんでママがいないだけで、パパまで悪く言われるんだろう?

 手をギュッ、と握り締め耐えていると、由美子があたしのランドセルを開いて、参観日のプリントを取り出した。

「お母さんいないんだから、このプリント無駄だよねぇ?」

「やッ!! 返して!!」

 由美子からみちるへ、そして光江にプリントが渡った。

「いらないものなら、捨ててあげるね」

 あたしの目の前で、プリントをグシャッ、と丸める――!!


「光江ちゃんひどーい」

 ケラケラ笑う由美子とみちる。

「はい。ゴミ、あげる♪」




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