うさぴょん号発進せよ
「嬢ちゃん悪いが、俺の部屋の片付けを手伝ってくれないか」

ビルホークはヴェイトを目で追いながら、のんびりとした口調でミレイユに言った。

「何?どうしたの?」

「部屋に置いてあった酒瓶が、さっきの揺れで殆どヤラレちまってな。中が酷い有様で、とてもじゃないが一人では片付けられそうにないんだ」

自慢の白髭を撫でつけながら、申し訳なさそうに言った。それでもなお手には酒瓶を1本、いつものように手放さずに持っている。

(一体、何本くらいのお酒が部屋に置いてあったんだろう)

それを眺めながら、トヲルは疑問に思う。

「うん、いいよ」

ビルホークに向かって、ミレイユは笑顔で返した。

「済まねぇな、嬢ちゃん。…コウヅキ、嬢ちゃんをちょっと借りるぜ」

「ああ、別に構わねぇよ」

コウヅキの許可を貰い、ミレイユを連れ立って階段を下りようとしたビルホークだったのだが、ふと振り返ると、

「ん?あの二人、何話してるんだ?」

船長とヴェイトの方を見ながら、事情を知らないビルホークは首を傾げるのだった。
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